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規模の大きな土地に建つ築古のマンション

​不動産の概要

​ 横浜市の郊外に建つ昭和50年代に建てられた、敷地面積約90,000㎡、建物20数棟、総戸数約700戸の大規模住宅団地です。

 建ぺい率60%、容積率150%に指定されていますが、実際に利利用している建ぺい率は約15%、容積率は約70%と指定容積率の半分以下とかなりゆったりとした設計になっています。

問 題 点

 このようなゆったり設計が、課税上の問題となりました。というのは

総戸数約700戸

敷地面積約90,000㎡

敷地の持分割合が13万/9000万(0.14%)

1戸当たりの土地の持分が、90,000㎡×0.14%=126㎡と大きく

​このため相続税の評価額が過大になりました。

 ちなみに相続税や贈与税などを計算するときの基準となるマンションの評価額は、土地部分と建物部分の評価額を分けて算出します。

 今回土地部分の評価額を計算する方法は、路線価方式でしたので路線価に、奥行価格補正率等の各種補正率と宅地面積を乗じ土地全体の評価額を計算し、これに持分割合を掛けて専有部分の評価額を算出します。

 建物部分の評価額は、固定資産税評価額の金額と同じです。

鑑定評価による価格

 このマンションは駅からバス便のやや交通の不便な地域にあり、築年数も当時30年以上経っていました。

 大型団地のためこの団地の中だけでも、多数の取引がありました。

 このマンションは庭も広く若い方にも人気もあり、中古マンションのほか、リノベーションしたマンションも相当数売りに出されていました。

 鑑定評価の作業では、実際の取引事例から求めた比準価格と、土地と建物の原価性に着目した積算価格で、2倍以上の開差が出ましたが、この不動産の特殊性を考慮し、比準価格を中心に鑑定評価額を決めました。

 鑑定評価額は路線価による評価より1000万円ほど安くなりました。

築年数に注意

商業地に建つ築年数の古い建物も注意

​ 昭和50年代以前に建てられた規模の大きなマンションには、同様の問題がありますので、納税時には市場価格と比較してみてください。また建築基準法改正ににより新しい耐震基準(いわゆる新耐震基準)が施行され、昭和56年(1981年)6月1日以前の建物は旧耐震基準の建物として、市場性の低下や金融機関の審査も厳しくなるので注意が必要です。

​ また郊外のマンションだけでなく、路線価の価格水準の高い商業地に建つ築年数の古い、1階や2階が店舗で、上層階が居住用のいわゆる下駄ばきマンションにおいても、路線価による評価が高くなることがありますので、注意が必要です。

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